10年ほど前から「褒めるしつけ」がはやり出しました。もちろん褒めることは大事で私も「褒める」ことは大切だと思っていますが、「褒めるだけ」のしつけにずっと違和感がありました。20年近く犬に関わる仕事をしてきて「褒めるだけ」のしつけでは上手くいかないと実感しています。褒めることも叱ることもどちらも大切なのです。
褒めることも叱ることもタイミングが大事
犬に「さっき上手におトイレできたね」「あの時に吠えちゃダメでしょ」と言っても理解できません。
その時の行動を褒める・叱らないと犬には伝わりません。
そして、言葉を使わない犬に言葉で伝えても伝わらないのです。
どうやって褒める・叱るのか説明していきます。

犬にきちんと伝わる褒め方
褒め方には3つあります。
- 声がけ
- おやつ、フード
- なでる
犬は人間の言葉がわからないので、はじめは声だけで褒めると褒められていると理解できません。声がけ➕おやつや撫でる をくり返すうちに声がけの言葉をいい事と理解していきます。
声がけ
「いいコ!」「おりこう!」「good!」などです。少し高い声で褒めてあげると理解しやすいですが、待てなど落ち着かせたい時には落ち着いたトーンで褒めます。
おやつ・フード(ごほうび)
おやつやフードは犬が確実に喜ぶ物を選びます。おやつのニオイで導いて犬を動かすことも出来ます。
次の行動へ移行しやすいように、すぐに食べ終わるものがオススメです。小さくちぎれるものや柔らかいものなどです。
ごほうびに順位をつけて練習内容に合ったものを選ぶといいと思います。普段の練習にはドッグフード、難しい練習には大好きなおやつなどと使い分けてみてください。
フードやおやつにはカロリーがあるので、あげる量に注意しなければいけないことと、おやつばかりをほめる方法として使っていると、人の言うことをきくのではなくおやつの言うことをきいている状態になってしまうので注意が必要です。
なでる
頭をなでてあげてもオッケーですが、頭を撫でられるのを嫌がるようなら肩(前足の付け根あたり)をなでたり、ポンポンとしてあげるのもいいと思います。
これも大げさになでると犬のテンションが上がりすぎることがあるので、落ち着かせる時には軽くポンポンくらいがちょうど良いときもあります。
褒めどころを探して褒める
「褒める」とは犬に「その行動は正解」と伝えることです。何か出来たときだけでなく、何もせずにいい状態でいるときも褒めてあげてください。ここを忘れがちになってしまいますが、落ち着いていられたときは「褒めどころ」になります。
例えば、外で物音がしても無反応だったときや、散歩の準備をしていても興奮しなかったとき、チャイムの音に吠えなかった時などです。
逆に褒めてはいけないのは、吠えるのをやめた直後や飼い主が帰ってきた直後です。吠えたことを褒められたと勘違いしたり、飼い主が帰ってきて興奮していることを褒めることになります。
落ち着いていられたり、いい状態でいるときは人にとっては煩わしくなく当たり前と思ってしまいますが、こう言うときこそ褒めるポイントです。

犬に伝わる叱り方
叱ると言っても暴力はダメです。そして感情的に怒ることも違います。
とくに怖がって唸ったり噛みついてきたりする犬に対して強く叱ると逆効果です。
「ここでは吠えてはいけない」「今の行動はダメ」などを犬にわかりやすく伝えることです。
褒めるだけで、してはいけないことを教えなければ犬はいつまでたっても理解できません。
褒めるも叱るも飼い主の状態が穏やかである必要があります。焦れば犬も焦ります。興奮すれば犬も興奮してしまうのです。なので、犬と接するときには飼い主は穏やか精神状態であることを意識して接してみてください。
犬が興奮している状態で叱っても犬の耳には届きません。まずは「シッ!」と言い犬を我に返らせます。そして座らせ落ち着かせます。落ち着いた状態で「ノー!」「ダメ!」を伝えます。
この時も飼い主は落ち着いた穏やかな状態でいることを意識してください。
また、犬が興奮状態で吠えていたりパニックになっているのを落ち着かせるのは難しい事の方が多いので、そうなる前に対処する事が望ましいです。散歩中に他犬に吠える犬は飼い主が先に他犬を見つけてリードを軽く引いて座らせたりして「吠えてはダメ」とプレッシャーをかけます。そして吠えずにいられたら褒めます。ここで吠えてしまったら「シッ!」と言って落ち着かせてから「ノー!」「ダメ!」と叱ってください。
まとめ
犬に言葉で説明しても伝わりません。褒めるも叱るも犬にわかりやすく、適切なタイミングで伝えていきましょう!
何度も言いますが、犬と接する飼い主の精神状態は穏やかで落ち着いた状態を意識してください。
人と犬がお互いにストレスなく幸せな生活を送れるように頑張っていきましょう。

コメント